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特集・インタビュー

2019.02.01 137PV

ブロックチェーンゲームの可能性とは?~韓国ブロックチェーン・ゲームショーに参加して~

1月30日・31日の2日間にわたり、韓国・京畿道ブンダン市にてブロックチェーンゲームショーが行われた。参加企業は、Tron等のプラットフォーム、ゲームエンジン、そしてゲーム向けのブロックチェーンソリューションを計画しているプロジェクト等だ。

ブロックチェーンゲームへの期待、そして現状の課題、それに対するソリューションというのが今回の発表者に対する一貫した流れであり、現状の一番の問題点はやはり、ユーザーにとってゲーム参加のハードルがあまりにも高すぎるという点だ。

Fuobi Koreaの発表では、ユーザが取引所で仮想通貨を買い、それをメタマスク等に送りそこから初めてゲームに参加できるという今のブロックチェーンゲームは広がらないとし、ユーザーがゲームをしたいと思ったときにすぐに取り掛かれる環境を作るべきだとし、Fuobiがゲーム内に仮想通貨取引のAPIを提供する用意があると図示した。

また、Dunamuグループの発表では、現状のUXでは、ゲームユーザーの99%が離脱するという見解を示した。しかし、この通りであれば、クリプトキティの潜在需要は100倍あってもおかしくないのではないか。だからブロックチェーンゲームは可能性があると示した。

全体を通して、成功事例というよりは、現状成功していないゲームタイトルがなぜ成功していないかを分析し、それを我々が解決することができるという内容が多かった。それだけ、まだブロックチェーンゲーム業界自体が未成熟でロールモデルが見いだせていないということが言える。

ブロックチェーンゲームとは何だろうか?これを理解するにはブロックチェーンとは何かを理解しなければならない。人間は抽象的な物事を直接理解できないという特性がある。例えば「根本」という単語も木の根っこという具体的に目に見えるものがあって初めて、ああ、これは物事の最初の方という意味なのだと理解ができるのだ。

ブロックチェーンという単語も同じ構造をしている。ブロックというのは四角い箱だ。チェーンは鎖だ。このように人間は具体的な物を通してしか物事を見ることができないと言える。

だからこそ、ブロックチェーンゲームとは何かと言ったとき、頼りになるのは現実世界で実際に起こっていることを起点に考えるということだ。現実世界で起こっていないことが起こると想定するよりも、現実の世界で実際に起こっていることをデジタルでも表現できると考えるとその可能性が見えてくるのではないだろうか。

ブロックチェーンが実現することというのは、デジタル上のアイテムに対し、その所有権を証明することができるという点だ。しかし、今のゲームにおいてその所有権が問題になっているということはあるだろうか。今のゲームの延長戦では回答は出てこない。なぜなら困っていないからだ。

ではこの所有権を証明することができるという特徴を一番活かすことのゲームは何か?そう考えることで、まったく新しいジャンルのゲームを生み出すことができると言える。

しかし、ここで問題が起こる。所有権が明確になり、その移転が行われるということはそこに実際の「価値」の移転が起こってしまう。そうすると、それは現実の法律上での金融や賭博の規制下に置かざるを得なくなってしまう。

ゲームセンターのコインと、パチンコ店の出玉の違いと言えば分かりやすいだろうか。そうなると、この所有権が明確になってそこに価値が付くということは、いきなり現実の法体系の中に放り込まれてしまうのだ。それであれば、ゲームは今のままの方が良いのではないかという考え方もある。

トランザクションスピードや、複雑な申し込み手順を解消すれば流行するか?ここをブロックチェーンゲームに関わる人はもう少し深く考えなければならない。

”アイテムが売買できる。”と言うが、本当にそのアイテムには売買が起きる「価値」を持たせることができるのか、考えなければならない。

ブロックチェーンゲームが向かう世界とは何か。ゲーム内アセットが「資産」となると言っても、その資産性はどこから生まれてくるのか。このヒントは現実世界で起こっていることを考える必要がある。

何の価値もない汎用品が突然価値を持つケースがある。その時に起こっていることを考えるとそこにヒントがある。

ブロックチェーンゲームショーに参加して、ブロックチェーンゲームへの可能性を再確認したと共に、まだ答えを見つけていない状態なのだとも確認できた。ユーザーが熱狂できるコンテンツをブロックチェーン基盤でどう作りこむか。勝負はここ1~2年になるだろう。

会場周辺は韓国テクノバレーと言われるIT企業の集積地。近代的なビルが立ち並び、多くのIT企業がこの地から新しいサービスを日々生み出している。韓国のITに賭ける本気を感じる地域であり、この地を訪問しただけでも多くを感じることができた今回の訪問であった。

 

Akihisa Ishida (石田 陽之)

広島大学文学部言語学専攻卒業。1995年からウェブサイトの制作に触れ、以来20年にわたりウェブ制作・オンラインマーケティングの世界に身を置いている。2013年にマレーシアの企業と共同でビットコイン決済が可能なCtoCマーケットプレイスの開発に関わり、ブロックチェーン技術に触れる。2017年に技術者と共同でエバーシステム株式会社を設立。ブロックチェーンを活用したゲーム開発・アプリ開発を中心に事業展開中。